普段雪の少ない地域こそ実は警戒が必要な雪害。
京都でも雨樋やカーポートに被害が出るようです。

近年、連続して起こっている雪害

京都府では例年12月から2月にかけて降雪が見られ峰山・舞鶴・美山は毎年雪深く(30cm超)、京都市でも京北・花背・広河原など雪深い地域はあります。3年に一度は市内でも10cm以上の積雪が記録され、ここ数年でいえば2015/1/3に22cm、2017/1/15に14cmといった具合です。

京都府での雪による被害を振り返ってみると、2012年2月に府北部(舞鶴市で87cmを観測)で住居39棟もの被害がありました(京都府災害対策本部)。2014/2/14に南丹市で23cmの積雪を記録し住居に一部被害が出ました(消防庁)。2017年の大雪では倒木やビニールハウスなどに被害が多数発生、宮津市や福知山市で死者(京都府災害対策本部)も出ています。2018年には京丹後市で軽傷1名、非住居に被害(京都府災害対策本部)。

参考)気象庁「過去の気象データ<京都市>
内閣災害対策課「災害状況一覧

建物への雪害は基本的に火災保険で対応可能です。ただ雪の少ない京都ではあまり意識することはないかも知れません。しかし日本では、国土の半分以上(約51%)が豪雪地帯に指定されており、約2,000万人(総人口の15%)もの人々が豪雪地帯で生活をしていることからすれば身近な災害の一つと言えます。
そのうえ普段から積雪に備えてないからこそ、屋根や雨樋が大量の積雪に対応できない可能性もあります。

雪の少ない地域だからこそ油断できない、それが雪害への備えと言えるかもしれません。

【災害】大雪とその特徴

発生原因 日本海側と太平洋側で異なる。冬の北西季節風が作る大量の雪雲による降雪が日本海側に大雪をもたらす主なものである。一方で「西高東低」という冬型の気圧配置が崩れる(2月~4月)時期に、本州の南岸を進む低気圧(南岸低気圧)が太平洋側、特に関東地方の南部などに、大雪や大雨を降らせることがある。
それら大雪注意報基準以上の降雪が数日に渡ることで、社会生活に大きな影響を与えることがある。
主な被害 火災保険においては建物の被害が主であるが、実際は雪崩や除雪中の転落事故、路面凍結による車や歩行者の事故、滑落や雪山遭難、公共交通機関のマヒなど多岐に渡る。
警戒項目 建造物の倒壊 雪かき事故 屋根より落雪 住宅内閉込め
除雪機事故 雪崩 路面の凍結 雪害による交通障害
対策 屋根への雪止めの設置、雨樋対策(軒といの取り付け位置をできるだけ下げる、マルチカバーをつける、集水器部分に銅線やスチール線をはり補強する)、カーポートの補助柱設置、安全な雪おろし知識、タイヤチェーン、スパイクシューズ、土砂崩れ(雪崩)警戒区域の把握、避難場所・経路の確認、非常食の準備。復旧資金の確保(火災保険(「風災・雹(ひょう)災・雪災」補償)への加入。災害に強い資産形成。)

想定される具体的な被害

  1. 雪の重みで建物や倉庫・車庫が押しつぶされた。
  2. 雪崩で壁や窓が破損し、室内に流れ込んだ雪で家財が破損した。
  3. 屋根から落下した雪で給湯器が破損した。
  4. 雪の重みで屋根が破損して雨漏りが発生した。
  5. 氷柱(つらら)により屋根や外壁、雨どいが破損した。
  6. 吹雪や雪で、アンテナや太陽光パネルが破損した。

雨漏りなど、雪害によるものであるか判断の難しい被害もあるかと思います。修繕前、修繕中の記録がとても大切になってくる部分です。

雪害被害、保険請求のポイント

  1. 損傷個所の画像記録をしっかり撮る
    屋根や雨樋、カーポートが被害にあったら速やかに修繕したいもの。しかし保険申請には修繕前・修繕中の記録画像がとても大切です。特に修繕中の画像は雪害が原因であること、必要な工事であったことを示す重要な判断材料になります。

    多くの工務店は修繕後の画像は残してくださいますが、修繕前や修繕中の画像は事前に依頼しておかないと難しいものです。
    屋根の被害ともなると、修繕は足場含めて費用が高額になりがちなので、申請に必要な材料はしっかり揃えましょう。

    参考:雪害による保険金支払例(損害保険協会:平成26年2月雪害
    火災・新種保険 支払額 2984億円
    火災保険、件数 211,839件
    火災保険、支払い額 2318億5千万円
    火災保険、1件平均 約109万円
    被害範囲 関東地方・甲信越地方が中心に東海や近畿地方
    被害規模 死者26名、負傷者701名、建物は全壊16棟半壊46棟
    一部破壊が585棟
  2. 申請はご自身で
    契約している保険代理店に相談し、申請はご自身で行いましょう。
    申請代行業者などに頼むのはトラブルのもとになりがちです。
    www.kokusen.go.jp
    「火災保険を使って屋根修理」というチラシをもらったが、本当?(身近な消費者トラ...
    http://www.kokusen.go.jp/t_box/data/t_box-faq_qa2013_52.html
  3. 免責金額、支払い条件を確認。修理費以外の費用も管理。
    免責金額20万円となれば、20万円未満の被害では保険金をお支払いできないケースもあります。またカーポートは対象外など支払い条件が無いか確認しましょう。契約内容によっては様々な「費用保険金(損害保険金×10%など)」が支払われることもあります。片付け費用などの実費が出るものですが、かかった費用について証明できるようにしておきましょう。
  4. 修繕の際、復旧だけでなく雪害対策もしておこう。
    高額な足場代金を払って原状復帰だけするのはもったいない話です。今後の被害を未然に防ぐためにも、雨樋や屋根に災害対策を施しましょう。具体的には屋根に雪止めをつける、雨樋にスノーカバーをつける、アンテナを補強するなどです。

以上のポイントを押さえて、契約の保険代理店に相談し請求を進めましょう。

見直しのチャンスは「今です。」

雪害は火災保険でカバーできます。高額な屋根修理費用を考えた時に補償がとても役に立ちます。火災保険は長期契約のため、補償内容や条件の記憶はあいまいでしょう。

現在の補償内容を再確認しておけば、被災した時に余裕を持って対応できます。

今すぐにでも保険代理店にて見直しや契約内容の確認をお勧めします。