水害や土砂災害は大規模災害と連鎖して起こる

台風や地震対策で述べたように、水害や土砂災害は単独で起こることは珍しい災害です。予測が難しい災害ですが、地域の災害史やハザードマップによって備えるべきことが浮かび上がってきます。

近年、増加傾向にある水害と土砂災害

地球温暖化の影響からか、日本では集中豪雨の被害が増えて来ています。短時間強雨の頻度が高まるにつれて、対策の出来ていない都市部だけでなく、交通機能の弱い地方でもそれぞれに課題が浮き彫りになっています。内閣府でもその対策に保険の備えを訴えています。(内閣府防災課「いざというときに備えて保険・共済に加入しよう」より)

標準的にセットされている風災補償をはじめ、台風の多い日本においては必須ともいえる火災保険。豪雨による水災や落雷は火災保険の年間支払い保険金額の大半を占めています。それでも火災補償に比べ、水災補償や地震補償の加入割合は、まだまだ低い状況にあります。

損害保険料率算出機構2015
火災補償あり 水災補償あり 地震補償あり
2,880万件(82%) 2,307万件(66%) 1,732万件(49%)

豪雨災害の特徴を知り、どんな被害があり、保険で補償される被害の具体例を知っておきましょう。

【災害】豪雨とその特徴

発生原因 急激な気候変動がもたらす強い雨。日本では降雨の年間平均日数が減少する一方で、短時間に猛烈な雨(1時間降水量80mm以上の雨)が降る頻度が増しており、それが豪雨となって災害を引き起こしている。

急激に発生する傾向にあり台風に比べれば予測が難しい。

気象ニュースを活用すれば、事前に備えておけることがたくさんあります。

主な被害 豪雨は河川の氾濫や土砂崩れを誘発し浸水被害をもたらします。豪雨をもたらす雨雲からの落雷により屋内の電化製品に被害が出たり、落雷が火災の原因となることもあります。
警戒項目 土砂の流出 増水による床上浸水 落雷による家電の破損 落雷による火災
対策 ハザードマップを参考に、浸水可能性と避難場所の確認をしておく。気象予報を確認し、浸水する可能性のある地域では土嚢(どのう)を準備し設置する。落雷対策としては、雷ガードつきのタップを使用するか、あらかじめ精密機器のコンセントを抜いておく。非常用水や非常食の準備。避難場所の確認。復旧資金の確保(風災補償・水災補償・落雷補償への加入。火災保険で建物付属物への補償を追加。災害に強い資産形成。)
水害・土砂災害から家族を守るには(内閣府防災課)

被害を受けたら写真(記録)を撮っておきましょう。

  1. 破損個所の画像記録を撮る
    破損個所を記録しておくことで請求をスムーズに。屋根が壊れていて後日雨漏りが発生する場合もあり、症状の無さそうな天井なども撮っておくと後に助かる場合も。可能な範囲で屋根、屋根裏の状態を確認しておきましょう。浸水の高さを記録するために、壁紙の水染みもしっかり記録しておきましょう。
  2. 修繕の過程も撮る
    安全確保が大事なので、保険の申請より修繕や原状復帰を優先させることは間違いではありません。ただし被災直後の様子と、修繕中、修繕後の画像記録を残しておきましょう。必要な範囲での修繕であり、その災害を原因とするものである裏付けになります。
  3. 小さな破損でもしっかり記録、可能な限り修繕する
    小さな破損から被害が拡大する可能性もあります。使用上問題が無いと感じても都度修繕しておくことが大切です。忘れずに記録し他とあわせて修繕しましょう。どんなに小さな破損でも、それが今後の経年劣化を早めたり倒壊の原因となることもあります。

見直しのチャンスは「今です。」

ハザードマップなどを参考に的確な補償を火災保険にセットして備えておきましょう。利用可能な補償を知っておくことは、被害にあった際に請求できる損害を確実に請求し、以後の損害の拡大を防ぐために重要です。

保険は事故や災害が起こる前こそ、絶好の見直しの機会です。

今すぐにでも保険代理店にて火災保険の見直しや契約内容の確認をお勧めします。その上で、日ごろの対策や危険個所の確認を行い、家族で情報を共有し、災害に備えましょう。

【水災】京都市桂川域(西京区)の主な浸水被害

2019年7月2日