「住宅総合保険の参考純率」が平均で5.5%引き上げ
自然災害や水濡れ損害(2013年の雪災や2015年の台風)による保険金の支払いの増加を背景として、火災保険料の参考となる「住宅総合保険の参考純率」が平均で5.5%引き上げとなりました(2018年5月21日、損害保険料率算出機構)。
これを元に各保険会社は実際の保険料を決定するのですが、その火災保険料の改定が2019年10月に迫っています。
火災保険料の値上がりが予想される地域
実際の保険料は各社により異なります。しかし参考純率が大幅に引き上げとなった地域は値上げされる可能性が大きくなります。値上がりする地域では、2019年10月の改定前に5年、10年の長期契約を行った方が保険料が安く済む可能性があります。
引き上げ率1位の地域
損壊保険料率算出機構が今回の改定で、三大都市圏と最大・最小となる都道府県を公開していました。つまり、以下の地域は大幅な値上がりの候補となります。
構造 | 都道府県 | 改定率 |
---|---|---|
M構造 | 鹿児島県 | 40.1% |
T構造 | 熊本県 | 24.4% |
H構造 | 熊本県 | 25.9% |
- M構造:鉄筋コンクリート造等の共同住宅 例:マンション
- T構造:鉄骨造等の耐火構造などの建物 例:耐火住宅
- H構造:木造住宅等のM,T構造以外の建物 例:非耐火住宅
◆上記は参考純率の改定率であり、実際の契約にあたっての保険料の改定率とは異なります。
2013年の雪災や2015年の台風で被害を受けた地域
その他の細かい地域の引き上げ幅を知りたいところですが、「参考純率」はあくまで「参考」であり、実際の保険料を表すものではありません。しかも保険料が全国一律の地震保険と違って公開もされていません。
しかし、今回の料率引き上げの理由は「自然災害による保険金支払いの増加」と説明されています。つまり、引き上げの原因となった地域は保険料も値上がりする可能性があります。
そこから想定される地域は以下の通りです。
災害 | 地域 | 支払い保険金 |
---|---|---|
参考 前回改定の前年 2012年 |
* | 雪災1.9億円 風災・ひょう災4.7億円 |
2013年 雪害 | 関東甲信 | 12.9億円 |
2015年 台風15号 | 九州地域 | 8.1億円 |
関東甲信(東京都、栃木県、群馬県、埼玉県、茨城県、千葉県、神奈川県、長野県、山梨県
)、九州(佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島)は大幅な値上げの可能性があります。
該当する地域の方は、自らの契約する保険会社に相談してはいかがでしょうか。
水漏れ損害の増加
資料では水漏れ損害の増加も指摘されています。冬季の凍結や老朽化などで水道管等に生じた事故による水濡れ損害の保険金の支払いと説明されていますが、報道ではマンションなど集合住宅での被害が大きいようです。
「建物の構造別ではマンションの上げ幅が大きく、東京都は20.4%の上昇。老朽化による水漏れが多発していることが主な要因。」日本経済新聞
ある程度、築年数の経っている「M構造」の建物は要注意です。
火災保険を見直そう
長期契約であるため、契約の内容を把握している人も少ないのが火災保険。改定前に見直せば、例え契約を変更しなくても補償内容は確認できます。補償内容を理解していれば、いざというときの保険申請も忘れずにすみます。
デメリットはまったくないので、軽い気持ちで自分の契約状況を確認しておきませんか?